ブランドパートナーの
心得:
連鎖販売取引とは(後編)
連鎖販売取引(前編)では一般消費者をヤング・リビングのブランド・パートナーに勧誘し契約することが連鎖販売取引に相当することを説明しました。
後編では、連鎖販売取引で守らなければならない規則について説明します。
特定商取引法の特徴
- 取引を行う事業者には開業規制がありません。
監督官庁の許可や登録などを経ることなく、だれでも自由に開業ができます。その代わり、当該取引を業務として行う以上は特商法を遵守しなければなりません。 - 特商法は消費者に対する情報の開示義務を中心に定められています。
事業者と消費者との間には情報の質及び量並びに交渉力に格差があるということが特商法の前提として認められています。
契約が消費者の自主的な意志をもって締結されるために、事業者は重要な情報を適切に開示することが義務とされています。消費者は情報をよく読んだり、調べたり、考えることによって、契約締結を自分の意志で判断し決定します。
特商法・連鎖販売取引の規制の基本構造
規制の内容は、大きく分けて二つあります。
一つは、監督官庁が事業者に法律を守るように指導し行政処分の対象にすることによって違反行為を防止する行政規制。二つは、契約解除に向けた民事ルールです。
【1】行政規制
- 氏名等の表示の義務(法33条の2)
ブランド・パートナーを勧誘する場合、まず、勧誘に先立って(アポイントを取るとき)、氏名等の明示と勧誘目的等を明示する義務があります。- 自己の氏名とヤング・リビング会員であること。
- 特定負担を伴う取引について勧誘することが目的であること。
- 勧誘に関わる製品の種類を説明すること。
- 広告の表示義務(法35条)
ブランド・パートナーを勧誘する場合、以下の重要事項を開示し説明する義務があります。- 統括者(ヤング・リビング)及び勧誘者の氏名(名称)、住所、電話番号
- 製品の種類、性能、品質に関する事項、及び商品名、価格、引き渡し時期に関する事項
- 取引(登録)に伴う特定負担に関する事項
- 特定利益(ボーナスプラン)に関する事項
- 契約解除の条件に関する重要な事項(クーリング・オフ及び中途解約)
- 誇大広告の禁止(法36条)
勧誘するとき、製品とボーナスに関して誇大な広告をすることが禁止されています。- 製品について、品質を著しく事実と相違する表示したり、または実際のものより著しく優良であると相手に誤認させる表示は禁止されます。
例えば、精油が医薬品のような病気治療効果がある、あるいは医療資料を使ってその効果を引用表示することなどは誇大広告になります。 - ボーナスについて、「確実にもうかる」というような断定的な表示は違反となります。
例えば、パート代ぐらいは誰でもすぐ収入がとれるとか、だれでも勧誘によって簡単に製品代金がただになるなど、収入に関する断定的表現は誇大広告になります。
- 製品について、品質を著しく事実と相違する表示したり、または実際のものより著しく優良であると相手に誤認させる表示は禁止されます。
- 未承諾者に対する電子メール広告の禁止(法36条の3)
勧誘したい相手方がいる場合、予め相手方に勧誘の目的を伝え承諾を得なければ、勧誘広告の電子メールを送ることはできません(オプトイン規制)。 - 不当な勧誘行為の禁止(法34条)
契約させるため、あるいは契約意志を解除させないようにするため、嘘をついたり威迫・困惑させるような不当な勧誘行為は禁止されます。- 重要事項の不実告知の禁止
製品の品質・性能、ボーナス、特定負担、契約解除の条件など重要事項について事実と違うことを告げた結果、相手方を誤認させ契約することは禁止されます。この場合、勧誘者が善意(嘘と知らなかった)であっても、相手方を誤認させて契約すると特商法違反のおそれがあります。
例えば、第三者のSNSに「精油の病気治療効果」が投稿された記事を事実と信じ、勧誘時に相手方にそれを紹介し誤認させて契約すると違反のおそれがあります。 - 重要事項不告知は説明義務違反
製品の品質・性能、ボーナス、 特定負担、契約解除の条件など重要事項について、悪意(知っていた)をもって説明せず、相手方を誤認させ、契約することは重要事項の説明義務違反となります。
例えば、定期購入以外に通常注文方法があることを知りながら、定期購入のみを伝えることは違反のおそれがあります。また、クーリング・オフを意図的に説明せず、相手方に契約解除ができないかのように誤認させることも違反となります。 - 威迫・困惑の禁止
契約を締結させる、または契約解除の意志を妨げるために勧誘の相手方を威迫して困惑させることは禁止です。
- 重要事項の不実告知の禁止
- 概要書面の交付(法37条の1項)
ブランド・パートナーを勧誘するときは、「契約前に必ず」概要書面を手渡す義務があります。概要書面の中に記載されている重要事項を説明し、勧誘相手方が内容を理解した上で、契約(登録手続き)していただく必要があります。契約後に概要書面を手渡すことは「書面の不交付」となりますので注意が必要です。
【2】民事ルールについて
民事ルールは消費者の自由な契約意志を尊重し、勧誘時に誤認による契約の被害を救済することを目的とします。
- クーリング・オフ制度
相手方はブランドパートナー契約(登録)した後、契約書面が届いた日、もしくは製品が届いた日のどちらか遅い日を起算日として、20日以内であれば理由いかんに関わらず契約を解除し、経済的に負担した金額すべてを返金として受け取ることができる制度です。
クーリング・オフに際して損害賠償等の請求はいっさいなく、勧誘者等は契約解除の理由を質すことによってクーリング・オフを妨げるような行為をしてはなりません。 - 中途解約
クーリング・オフ期間を経過してもいつでも契約を解除することができ、契約解除申請90日前に購入した製品を返品することができます。ヤング・リビングは10%の手数料と振込手数料などの経費を製品購入金額から差し引いた金額を返金します。 - 取り消し制度
ブランド・パートナー勧誘する際に、不実告知や重要事項の不告知があり、本人がそれを認知した時点から1年以内であれば、立証することにより契約を取り消すことができる制度です。契約解除の清算は契約前の状態に原状復帰するという考えであり、ヤング・リビングは受け取った製品代金を相手方に返金し、相手方は提供された製品の残存する分と使用済みの製品相当金額をヤング・リビングに戻すことになります。
最後に
連鎖販売取引の規則を守り消費者に重要事項を情報開示して説明するのは当然ですが、それだけでは相手方が登録するとは限りません。提供された情報に耳を閉じずに聞いていただき、登録したいという意志を持ってもらうことは、勧誘する会員の「善き態度」に関わるところが大きいです。人は違和感を感じるものには反発したり、避けることがありますので、誇張や押しつけがましい態度でなく、貴重な時間を割いていただいた相手方に感謝する態度が大切です。
以上