ステマ規制違反の事例について 第3弾 |Compliance(コンプライアンス)

ステマ規制違反の事例について 第3弾

 

今月は、コンプラ知恵袋9月号に引き続き、「ステマ規制違反の事例について」第3弾をご紹介いたします。

コンプラ知恵袋9月号「ステマ規制違反の事例について 第2弾」の記事はこちらから、
コンプラ知恵袋7月号「ステマ規制違反の事例について」の記事はこちらからご覧いただけます。

 

2024年11月13日に消費者庁は大正製薬に対し、同社が提供する「NMN taisho」と称するサプリメントにかかる表示について、景品表示法のいわゆるステルスマーケテイング規制(ステマ規制)に違反したとして行政処分を行いました。

昨年10月にステマ規制が導入されて以来、3件目の行政処分となりました。

 

今回の違反内容

大正製薬は、自社製品の広告を依頼したインフルエンサーの投稿記事を、自社ウェブサイトに広告と表示せずに転載したことが、ステマ規制違反と判断されました。

大正製薬は、複数のインフルエンサーに対して、同社が提供する「NMN taisho」と称するアンチエイジング効果を謳うサプリメント(30日分、約32,000円相当)および報酬(1万円)を提供する条件で、インスタグラムへの投稿を依頼しました。

依頼を受けたインフルエンサーは、2024年6月にインスタグラムに投稿しました。インフルエンサーの投稿には「#PR」など、広告であることが表示されていたものの、大正製薬は「大正製薬ダイレクトオンラインショップ」と称する同社のウエブサイトに当該インフルエンサーのインスタグラムへの投稿記事の一部を抜粋・転載し、その際に広告であることを示す表示を行いませんでした。このため、ステマ規制違反と判断されました。

 

違反事例から学ぶ

今回のケースでは、インフルエンサーが大正製薬の本商品に関する記事をインスタグラムに投稿した際、「#PR」と表示しているため、インスタグラムを閲覧した消費者は、大正製薬の製品広告であると認識でき、問題はありません。

しかし、大正製薬が自社サイトにインフルエンサーの投稿記事を転載する際に広告であることを表示しなかったため、サイトを閲覧した消費者は、転載されたインフルエンサーの記事が販売会社の依頼によるものではなく、本人の自由意思で効果を評価しているものだと誤認するおそれがあります。さらに、消費者は、大手医薬品会社が開発したサプリメントであることから、その安全性や有効性に信頼を寄せる可能性が高く、消費者を誤認させる今回のステマ規制違反は深刻であると言えます。

 

消費者庁による措置命令の概要

消費者庁は本件に関し、大正製薬に対して以下の措置命令を行いました。

  1. 本件について消費者庁の承認を得た方法で、一般生活者に周知徹底すること。
  2. 今後、同様の表示が行われることを防止するために必要な措置を講じ、役員や従業員に徹底すること。
  3. 周知徹底および措置について消費者庁長官に報告すること。

 

最後に

会員の皆様は、ネット上にヤング・リビング製品に関する記事を掲載すると、それを閲覧して興味を持った消費者から、「製品についてもっと知りたい」「どうすれば購入できるのか」などの問い合わせを受けることがあり、ダイレクトメッセージで消費者に情報を提供されていることと思います。

ステマ規制では、消費者が製品に関する情報を閲覧した際に、ヤング・リビングの広告であることが認識できるように、「#PR」などの表示をすることが求められています。

 

以上