【コンプラ知恵袋】エッセンシャルオイルの波長効果について|Compliance(コンプライアンス)

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エッセンシャルオイルの波長効果について

私たちは日ごろ仲の良い知人のことを 「あの人とは波長が合う」 と表現することがあります。

この場合の 「波長が合う」 とは、ものの考え方とか感じ方が似ていることを指します。
波長と言っても物理学上の 「波長(周波数)」 を意味しているわけではありません。

しかし、エッセンシャルオイルの逸話や研究資料に興味を持つ人がエッセンシャルオイルの持つ 「波長(周波数)」 と 「病気治療効果」 の関係性をWEBサイトに投稿しているのを散見します。

実際にエッセンシャルオイルの波長は、病気治療に対して効果があるのでしょうか。

今回はエッセンシャルオイルの 「波長(周波数)」 について正しい知識をお伝えします。

 

1. エッセンシャルオイルの波長(周波数)に関する主張

『The Body Electric』 という本の中で、著者は 「身体やエッセンシャルオイルは独自の周波数を持っており、病気をしたり、落ち込んだ時に身体の周波数が下がり、周波数の高いエッセンシャルオイルをコーヒーなどに添加して飲むことで、元の周波数に戻したりすることから、エッセンシャルオイルの周波数を病気治療に利用できる」 と主張しています。

本の中では、治療効果を裏づける試験結果も紹介されていますが、科学的根拠のある試験(臨床試験)としては不十分な試験と見られます。

科学的な臨床試験ではプラセボ効果(治療対象患者や医師の強い期待感による効果)を取り除いた条件下で、繰り返し徹底した試験を行い、治療効果を確認します。本で書かれている 「エッセンシャルオイルの周波数が病気治療に効果がある」 とする主張は科学的根拠が裏付けられているといえません。

一方で、このようなエッセンシャルオイルの波長による治療効果を本で発表することは、表現の自由の範囲内であると考えられ、他人に迷惑をかけなければ、著者は法律違反を問われることはありません。

しかし、会員がもし、この本をお客様に見せて治療効果を紹介したり、WEBサイトに治療効果を掲載したりすることによってエッセンシャルオイルの販売につなげると、薬機法(未承認医薬品の販売)、特商法(不実告知)、景品表示法(優良誤認)に抵触する恐れがあります。

 

2.WEBサイト上で周波数に関する投稿例

よく見られるのは癌の代替治療(通常治療に替わる治療)や補完治療(通常治療と併用治療)にエッセンシャルオイルの周波数が効果あるとするものです。

また、身体の内臓から出る周波数とエッセンシャルオイルの周波数を調整することによって内臓機能を強化できるとするものもあります。

大抵の場合、治療体験談が同じサイト上に紹介されています(治療体験談については前回号 『体験談を伝える上で注意したいこと』 で詳しく説明しています)。

科学的根拠のない癌の代替治療や、補完治療の効果を販売のために広告することは、法律上だけでなく倫理的に問題があります。

具体的には、通常治療で癌を完治することが出来ず医師から余命を宣告された患者や、元々通常治療に懐疑的な考えを持つ患者が、エッセンシャルオイルの周波数が癌治療に効果があることを知った結果、その効果を信じて治療を選択し通常治療を中止したために、症状を悪化させる危険性があります。

患者がエッセンシャルオイルによる治療を選択したいときは、医師と相談したうえで医師の指示に従わなければなりません。
なお、現在の医学では通常治療を上回る効果を持つ代替治療はないと言われています。

私たちはWEBサイトの情報や著書の内容に触れたとき、精査せずに信じ込んでしまいがちです。大切なのは、自分が正しい知識を得るためには反論側の情報を調べてみることです。両者の主張の違いや根拠を知ることによって短絡的な判断を避けることが出来ます。

WEBサイトの情報を信じて、お客様に 「ダメ元でやってみない?」 というアプローチはリスクがあり、法律上も問題があります。

 

3.体感できないエッセンシャルオイルの波動

エッセンシャルオイルの持つ周波数や身体の周波数を 「波動」 として五感で感じることはできません。一方、すべての事象が科学的に実証できるとする現代科学にも限界はあると言われています。

愛情や憎しみと言ったものは目に見えませんが、私たちは、確実にあるものと認識できます。

波動はあるのかもしれませんが、代替治療として効果を謳うときは科学的根拠が無ければなりません。
科学的根拠が弱いと、波動のあるエッセンシャルオイルの効果は 「霊感のある壺」 と同じ考えになってしまいます。

 

4.最後に

代替治療といわれるものは、欧米において数世紀前から現在に至るまで数多くあり、ほとんどは効果がないか、効果があっても通常治療に比べて効果が小さいと言われています。

エッセンシャルオイルの効果についてもヨーロッパで古くから逸話が沢山あります。当時は、医学や医薬品が未完成の時代で、今日でいうところの 「代替治療」 が数多く行われていた歴史があり、中には効果のあるものもあります。

しかし、現在の日本は薬機法、特商法、景品表示法など消費者を守る法律が制定され、販売者だけに守らせるのでなく、国が責任をもって 「安全性と有効性」 を管理する体制をとっていますので、海外の状況と比べて厳しい面があります。

エッセンシャルオイルの製品情報について、会員の皆さまには、会社が提供する資料を利用していただきたいと思います。